戸建て購入を検討するユーザーの検索行動は多様化しており、SEO対策には検索意図の理解が必要です。物件情報を掲載するだけでは成果に直結せず、行動・比較・情報収集などの意図に応じたコンテンツ設計が求められます。今回は、検索意図の分類や差別化につながるコンテンツを解説します。

戸建て購入層の集客にSEOが必要な理由

以前のユーザーの情報収集行動は、インターネットの普及に伴い変化しています。まずは、住宅購入検討者の情報収集方法の変化と、新築戸建ての市場動向を解説します。

戸建て購入検討者の情報収集方法の変化

LIFULL HOME’Sと株式会社オープンハウスグループの共同調査では、住宅購入の際に参考にする情報源として「住宅メーカーのWebサイト」が1位に挙げられています。この結果からも、住宅購入検討者の情報収集は、Web上で行われることが多いことがわかります。

参考：住宅購入に関する意識調査2024

新築戸建ての成約数の増加

戸建て住宅の人気が2025年に入り上昇しています。
東日本不動産流通機構（東日本レインズ）の調査によると、首都圏の新築戸建住宅の成約件数は、2024年7月には370件だったのに対し、2025年7月は1268件に増加しています。前年同月比で見ると242.7％の増加率です。

戸建て住宅需要が増加している要因として、マンション価格が高騰していることが考えられます。近年は、新築・中古関係なくマンション価格が高騰しているため、戸建住宅に目を向ける人が増えているのです。

その結果、これまでマンション購入を検討していた層が戸建て市場へ移動したことで、検討者の間口が大きく広がっています。つまり、戸建て住宅の集客を強化するなら、今が絶好のタイミングと言えるでしょう。

参考：「新築一戸建て」の成約件数が前年比3倍以上に急増！コロナ禍を経てなぜ再びブームとなっているのか

戸建て購入層の集客に有効なSEO施策

ユーザーの不動産検索行動の変化にあわせて、集客施策も検討していかなければなりません。Web上での検索行動に対応するには、不動産会社側もWeb上に情報を発信する必要があります。

もちろん、元々不動産ポータルサイトを利用している場合も多いでしょう。しかし、ポータルサイトに依存した集客では、競合と差をつけることはできません。

Web集客で競合と差をつけるには、SEO施策の実施がおすすめです。

自社サイトでコンテンツを更新するSEOは、ポータルサイトと違い、競合の情報と比較されにくいのが特徴です。また、自社独自のセールスポイントを強調できるので、検討意欲の高いユーザーに向けて的確にアプローチできます。

また、SEOは費用対効果が高い点も魅力の一つです。SEOが成功すれば広告費の削減につながり、利益率が向上します。それでは、実際にSEOの効果を高める施策を解説します。

SEO施策は、大きく3つに分けられます。以下がそれぞれの施策内容です。

施策	施策例
内部対策	・メタディスクリプションの設定 ・見出し構造の設定 ・内部リンク設計 ・物件カテゴリの設定 ・重複コンテンツの整理
外部対策	・被リンクの獲得 ・SNS運用による認知拡大とリンク誘導 ・不動産系ポータルや地域情報サイトへの掲載 ・NAP情報（Name/Address/Phone）の統一 ・Googleビジネスプロフィールへの登録・最新化
コンテンツ作成	・検索意図に基づく記事作成 ・地域×テーマの記事強化（ローカルSEO強化） ・FAQなどの疑問に答える記事作成 ・物件情報のこまめな更新 ・E-E-A-Tの強化

これらの施策はあくまでもSEOの一部です。SEO施策に取り組むことで、Web上での集客を期待できます。特に、ユーザーの検索意図に応えるコンテンツ作成は最も重要であり、適切なキーワード選定と継続的な更新が成果を左右します。

戸建て購入層の検索意図の種類

検索意図とは、ユーザーの検索目的です。
検索目的はユーザーの疑問や悩みの解決、欲求の実現に関係しており、検索目的を把握することでコンテンツの質も高まります。

検索意図は4種類に分類されており、以下の特徴になります。

分類名	特徴	ユーザー心理	キーワード例
DO（指名型）	・ユーザーが方法を知って、行動したいと考えている ・具体的な行動に直結する情報を求めている	・購入の方法・手順を知りたい ・具体的な行動に移りたい	・戸建て 購入 流れ ・一戸建て 買い方 初心者 ・住宅ローン 申込方法
KNOW（情報収集型）	・特定のテーマについて知りたいと考えている ・知識の習得が目的で、行動には至っていない段階	・どういう選択肢があるか知りたい ・基礎から学びたい	・戸建て 購入 メリット デメリット ・新築と中古 どっちがいい ・マイホーム いつ買うべき
GO（指名型）	・特定の企業名・物件名を検索する、明確な目的を持った指名検索 ・知っている企業サイトにアクセスしたい、評価を知りたい	・知っている不動産会社の評判やサービス内容を調べたい	・〇〇不動産 戸建て 評判 ・〇〇不動産 モデルハウス ・〇〇不動産 〇〇市 店舗
BUY（購入・比較型）	・購入を具体的に検討しており、比較・ランキングとの情報を求めている ・検索意図の中で最も問い合わせ獲得に近い決断の段階	・購入候補を選んでいる ・価格や立地を比較したい	・〇〇市 新築戸建て 相場 ・〇〇エリア 戸建て ランキング ・ローコスト住宅 おすすめ

戸建て購入層をターゲットとする場合にも、行動段階や目的に応じた検索意図を検討する必要があります。検索意図を正しく理解することで、幅広いターゲット層を取り込めます。

検索結果で上位表示を目指すには、特定のキーワードで検索するユーザーの検索意図に、しっかりと回答しなければいけません。分類に応じたコンテンツ作成を意識しましょう。

▼SEOで成果を発揮するには戦略が重要です。以下の記事では、不動産集客におけるSEO対策を成功させるコツを紹介しています。
不動産集客でSEOを成功させるための戦略

戸建て購入SEOにおける重要なポイント3選

戸建て購入SEOを成功させるには、物件概要を掲載するだけでなく、他社との差別化を図る必要があります。ここでは、競合他社との差別化を図るための効果的なコンテンツの作成方法を紹介します。

1. 情報提供型コンテンツでの見込み客の獲得

ユーザーが物件を選ぶ際には、周辺の生活環境や利便性を重視します。
たとえば、周辺のスーパーや学校、交通アクセスなどの詳細な情報は、ユーザーにとって非常に有益です。さらに、地域の治安状況も掲載すると、実際に住んだときの生活を具体的にイメージできるため、競合サイトとの差別化を目指せます。

また、戸建て購入検討者は、不動産情報において、住み替え後の生活のイメージのしやすさも重視しています。住宅の間取りに合ったインテリアやリフォームの工夫、子育てに適した住み方など、具体性のあるコンテンツを発信すると効果的です。

コンテンツ内容は、新築・中古、単身者・ファミリーなど想定ユーザーによって、求められる情報が異なります。ユーザーに訴求できるコンテンツを作成することで、自社サイトのファン＝優良な見込み客の獲得に役立つでしょう。

収納・湿気対策・地域ルール・引越し手続きなどの生活密着型のライフハックも、不動産の魅力を高める有力なコンテンツです。

▼Webサイトではデザインの最適化やスマホ対応も必要です。こちらも合わせてご覧ください。
不動産会社がホームページ集客する7つの手法！成果を出すコツも解説

2. 条件ごとの特集ページを作成する

条件ごとの特集ページの作成も、戸建て住宅の売買サイトでは有効です。
ユーザーが希望条件で物件を探せるように、カテゴリーや仕様に対応したページを作成しましょう。

条件ごとの特集ページの具体例は、以下になります。

条件	特集ページ例
地域 × タイプ	・〇〇市 新築一戸建て特集 ・〇〇区 中古戸建て一覧 ・〇〇エリア 2階建て住宅 特集
学区・子育てニーズ	・〇〇小学校区の一戸建て特集 ・子育てに人気の住宅エリア ・徒歩10分以内に保育園がある戸建て
価格・予算別	・3,000万円以下の戸建て特集 ・月々8万円台で住める新築一戸建て ・住宅ローン控除対象の物件まとめ
設備・ライフスタイル	・駐車場2台付き戸建て特集 ・平屋住宅、バリアフリー対応 ・テレワークに最適な間取りの家
築年数・リフォーム済み	・築5年以内の戸建て特集 ・リフォーム済み中古住宅 ・即入居可能なおすすめ物件

テーマを絞った特集ページは、ユーザーが条件に合った物件を見つけやすくなるため、問い合わせ率の改善に貢献します。

▼以下の記事では、不動産集客で活用するホームページ運営を成功させるために必要なコンテンツを紹介しています。押さえておきたいコンテンツも紹介していますのでご覧ください。
不動産集客を成功させるためにホームページに必要なコンテンツ

3. 画像を効果的に活用する

適切な画像の設置は、コンテンツ理解の促進に役立ちます。理解しにくい内容をわかりやすく解説してくれる画像があれば、信頼性・権威性を示すことにもつながるでしょう。

画像を掲載する際には、鮮明なものを使用することはもちろん、データ容量が大きいと読み込み速度に悪影響をもたらします。Googleはページの表示速度を含む、Webサイトの使い勝手も検索順位を決める際の要素のひとつにしているため、画像の最適化を図りましょう。

また、画像を活用する際は、alt属性の設定も忘れずに行いましょう。alt属性の設定は、内部SEOに効果的と言われています。

▼SEOとMEOを併用することで幅広い層のユーザーに訴求できます。以下の記事もご覧ください。
不動産集客でSEOを行う際にはMEOも並行して実施する

まとめ

戸建て購入層の検索意図を理解し、最適なコンテンツを用意することでSEO効果は向上します。物件情報だけでなく、周辺環境や住み替え後の暮らしを実現する情報提供も差別化のポイントです。

さらに、ユーザー条件に対応した特集ページや画像も工夫して配置すれば、検索流入と問い合わせ獲得に直結するサイトに成長します。

効率的な集客の実現のためにSEOを強化しましょう。

▼以下の記事では不動産業界におすすめなSEO対策会社を22選紹介しています。SEOの知識がなく、実施できずに悩んでいる方は参考にしてください。
（22選）不動産業界のおすすめSEO対策会社を紹介

▼また、不動産集客の基礎については、以下の記事にまとめています。こちらもあわせてご覧ください。
不動産集客とは