新築価格の高騰やリノベーション需要の高まりにより、中古住宅市場が拡大しています。購入検討者が増えるなか、物件情報の検索数も増加しており、検索結果での露出が拡大している今こそ、SEOの強化が必要です。今回は、中古住宅の反響獲得におけるSEOの必要性や、ターゲットの検索意図に合ったキーワード選定やページ設計方法を紹介します。

中古住宅におけるSEOの必要性

中古住宅の反響獲得において、ポータルサイトに依存した集客では限界があります。まずは、SEOの必要性と中古住宅検討者の検索行動の特徴を解説します。

ポータルサイトでの集客獲得の限界

不動産業界では、SUUMOやHOME’Sなどのポータルサイトが主な集客方法です。
不動産ポータルサイトは、多額の広告費を投資し、テレビCMやWeb広告を展開していることから、高い集客力を持っています。自社の物件をユーザーに認知してもらい、反響を獲得できる点はメリットです。一方、広告掲載費の高騰や、他社との差別化が困難なことから、反響獲得が難しいのが現状です。

さらに、掲載情報は各ポータルサイトのフォーマットに従う必要があるため、自社独自のアピールポイントはあまり訴求できません。特に中古物件では、ポータル上での情報が画一的になりやすく、自社独自の魅力（エリア情報、施工歴、リノベの可否など）を訴求しにくいでしょう。

WebサイトのSEOに取り組むことで、自社の強みを打ち出したコンテンツ作成が可能です。他社と同条件での掲載競争から脱し、差別化された集客チャネルを構築できます。

▼SEOは中長期的な集客が見込めます。以下の記事では、SEO対策を実施すべき理由を紹介しています。
不動産集客でSEOに取り組むべき理由

中古住宅の検索行動における特徴

検索ユーザーは「地域名＋物件種別＋条件（例：立川市 中古マンション 角部屋）」のような具体的なロングテールキーワードで情報収集を行う傾向があります。ロングテールキーワードは、競合性が低いため、上位表示しやすいのが特徴です。また、検索意図が明確なキーワードが多いため、反響につながりやすいことからも、集客施策への応用が求められます。

中古住宅は、物件ごとに築年数や内装の状態、設備の新しさが異なるため、購入希望者は物件を見比べるのに時間がかかります。気になる物件を何度も検索し直したり、他の物件と比較するために複数回検索を行うことも多いです。

一度の広告露出ではなく、継続的なSEOによる検索流入で、比較検討フェーズの接点を持つことが成約につながりやすいでしょう。

中古物件とリノベーション需要の拡大

これまで、住宅購入を検討する際には新築住宅を望む方が多い傾向にありました。しかし、ウッドショックによる建材価格の高騰で新築住宅の価格上昇などの理由で、中古住宅が注目されています。新築じゃなくとも、リノベーションを行えば予算を抑えつつ自分好みの住空間を作れるため、若い世代でも中古住宅の購入者が増加しているのです。

予算的に新築物件の購入は難しいけれど、クオリティが高く好みのデザインの家に住みたい要望を叶えられる中古リノベ－ションが人気です。景気低迷が続く現在、中古住宅やリノベーション需要はしばらくの間継続すると予想されます。

▼SEOの知識がなく、専門の会社に依頼した場合の費用が気になる方もいるでしょう。以下の記事では、対策別のSEO費用の相場を紹介しています。
不動産サイトのSEO費用はいくら？対策別の費用相場と料金体系を解説

中古住宅・中古マンションSEOの戦略設計

中古住宅を検索するユーザーの獲得には、SEO施策の実施が有効です。SEOで成果を得るには、ターゲットニーズに合ったキーワード選定やページ設計が重要です。ここでは、キーワードの設定の考え方と、検索意図に基づいたページ設計を紹介します。

SEOキーワードの選定方法

キーワードを選定する前に、自社のターゲットを明確化しましょう。単身者・ファミリー層・新婚など、どの層をメインターゲットにするかで検索ニーズが異なります。

次に、キーワードを具体的に決めていきます。たとえば、「横浜 中古マンション 駅近」など、「エリア名＋物件種別＋目的」を組み合わせたキーワードは、具体的な物件を検討しているユーザーへの訴求に有効です。このようなロングテールキーワードは競争が比較的少なく、ターゲット層に合致した検索意図を持つユーザーにアプローチできるため、積極的に狙っていきましょう。

キーワードの選定で迷ったときには、Googleキーワードプランナーなどのツールの活用がおすすめです。Googleキーワードプランナーは、無料で利用できる検索ボリュームや競争度、関連キーワードのチェックツールです。ツールを活用することで、見落としていたキーワードを発見することもあるので、コンテンツ作成時のヒントにもなるでしょう。

▼以下の記事では、不動産集客でSEOを成功させるためのキーワードについて紹介しています。合わせてご覧ください。
不動産集客でSEOを成功させるために必ず押さえておきたいキーワード

ユーザー検索意図に基づいたページ設計

中古住宅を探すユーザーは、「今すぐ購入したい」だけでなく、「情報を調べたい」「他と比較したい」など、さまざまな検索目的を持っています。そのため、検索意図に合わせてコンテンツ内容を変えることが重要です。不動産集客を目的とするうえで、コンテンツの種類が少ないと多様なニーズを取りこぼす可能性があります。

具体的には、以下の検索意図ごとにページを作成すると効果的です。

検索フェーズ	ページ例
購入系ニーズ（今すぐ買いたい）	・物件詳細ページ ・問い合わせ導線のあるランディングページ
調査系ニーズ（まず情報収集したい）	・コラム記事 ・初めての中古住宅購入ガイド ・周辺エリアの特徴紹介
比較系ニーズ（複数を比較したい）	・◯◯エリアの中古マンション比較ページ ・「条件別ランキング」などの一覧・特集ページ

こうした設計を行うことで、ユーザーの思考や行動フローに沿ったサイト構造になり、問い合わせや内見予約の獲得につながります。

▼不動産サイトでは物件検索や会員登録機能などの機能が必要です。以下の記事では、不動産集客で活用するホームページ運営を成功させるために必要なコンテンツを紹介しています。
不動産集客を成功させるためにホームページに必要なコンテンツ

競合調査とポジショニング

SEOで成功するには、競合調査が重要です。
検索上位を獲得しているキーワードや、競合のコンテンツ内容、質や量を分析することで、自社のサイト改善に役立ちます。分析をする際には、エリア別・物件ジャンル別など、不動産集客に置いて重要なポイントを複数の視点から行いましょう。

まず、競合が上位表示を獲得しているキーワードを特定し、それに対して自社がどのような強みを持っているか、差別化できるポイントがないかを発見することが大切です。他社との違いを訴求するには、周辺環境の説明や担当スタッフのコメントなど物件に関する独自情報を掲載すると良いでしょう。

▼以下の記事では、不動産集客に有効なSEO対策の実施手順を紹介しています。合わせてご覧ください。
不動産集客でSEOを行う手順

サイト内部構造と技術的SEO対策

中古住宅を検索するユーザーの集客には、コンテンツ制作以外のSEO施策も必要です。検索順位とユーザー満足度を高めるには、サイトの構造改善が欠かせません。次に、SEOに効果的な施策を紹介します。

内部リンクの設置

内部リンクは、関連ページを結び付ける役割を持ち、検索エンジンに「ページ同士の関係性」や「重要度」を伝える役割を担います。不動産サイトでは、物件紹介ページから周辺情報や関連するコラム記事に内部リンクを設置すると、ユーザーがサイト内を効率的に移動できます。ユーザーのサイト内の回遊率が上がることで、クローラーも効率よくページを巡回できるため、内部リンクは積極的に設置すべきです。

特にエリア別・物件タイプ別のページには、関連物件や人気エリアへの導線を設け、SEO効果とユーザー満足度を両立するとよいでしょう。

階層構造の最適化

Webサイトの階層構造の最適化は、UXやSEOの効果があります。不動産サイトでは、「エリア → 中古戸建（物件種別） → 物件詳細ページ」など論理的な階層構造に整えることで、検索エンジンにもユーザーにも分かりやすいサイトになります。

各ページがどのカテゴリに属しているかを明示するために、パンくずリストも設置しましょう。

モバイルフレンドリーへの対応

モバイルフレンドリーとは、Webサイトをモバイル端末で閲覧した際に、見やすく使いやすい状態にすることです。Googleは2015年「モバイルフレンドリー アップデート」を実施し、検索結果でモバイルフレンドリーなWebサイトの検索順位を引き上げるようにしました。

スマートフォンからWebサイトを閲覧するユーザーが増えている現在、モバイルユーザーにとって読みやすく使いやすいWebサイトが求められています自社サイトがスマートフォンに対応していない場合は、改善することで集客力向上を見込めるはずです。

SEOで高評価を得るなら、Webサイトの表示速度の改善も重要です。
GoogleのPageSpeed Insightsなどのツールを利用し、サイトの速度やモバイル表示の課題をチェック・改善することをおすすめします。

▼紹介した対策以外にもさまざまな施策があります。以下の記事ではSEOに効果的な6つの施策を紹介しています。
不動産業界の内部SEO対策！内部対策の特徴や6つの施策を紹介

まとめ

中古住宅の反響を獲得するには、ポータルサイト依存の集客では限界があり、自社SEOによる集客力の強化が求められています。検索ユーザーの行動特性を理解し、意図に合ったキーワード設計とページ構成を行うことで、差別化と反響獲得の両立が可能です。

また、内部リンクや階層構造、モバイル対応などの技術的なSEO対策も、継続的な成果につながる施策として重要です。

中古リノベーションの需要が増えている現在では、SEOを強化し反響獲得が可能な絶好の機会と言えるでしょう。

▼SEOは戦略が重要です。以下の記事では、不動産集客におけるSEO対策を成功させるコツを紹介しています。こちらも合わせてご覧ください。
不動産集客でSEOを成功させるための戦略