- 2025年09月12日
不動産会社のAI活用事例

代表取締役社長 兼 Webコンサルタント
中尾 優作
AIは多様な業界で活用されており、不動産業界でも導入する企業が増えています。とはいえ、「具体的にどのような業務でAIが役立つのか知りたい」と考える方も多いのではないでしょうか。今回は、不動産業務におけるAI活用の事例を紹介します。自社でもAI活用を取り入れる際の参考にしてください。
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不動産業界におけるAI活用事例8選
ここからは、不動産業界における8社のAI活用の事例を紹介します。どの企業もAIを活用することで、業務効率化などに役立っています。
東急リバブル
東急リバブルは、AIが希望条件にマッチする物件を診断する「AI相性診断」を提供しています。
AI相性診断は、ユーザーが予算や重視する項目など物件についての質問に回答すると、AIが最適な物件を紹介してくれるサービスです。条件に合った物件を無料で提案してくれるので、気軽に利用できます。店舗に来店する必要がなく、自宅で物件を探せるため、ユーザーにとって便利な活用方法と言えるでしょう。
さらに、東急リバブルはスピード査定サービスにもAIを活用しています。最新の査定価格、周辺相場、売出事例をマイページでいつでもチェックできます。
参考:東急リバブル、生成AIを活用した対話型チャットサービスの提供を開始_東急リバブル
AI相性診断_東急リバブル
三井不動産
三井不動産はグループ全体でDXを推進しており、社内業務の効率化から物件の管理まで幅広くAIを活用しています。業務プロセスのデジタル化と自動化を図り、年間約27.9万時間(2018年度~2023年度)の業務時間の削減に成功しました。
2023年8月から自社AIチャットツール「&Chat」の運用を開始しました。&Chatは、最新のインターネット情報や社内データを参照して回答を生成します。文章の要約・翻訳・アイデア出しなどの日常業務を効率化できます。ユーザーからの問い合わせ対応にも利用できるので、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。
さらに、三井のリハウスは「リハウスAI査定」を提供し、マンションの推定価格を瞬時に算出します。査定時には電話番号の登録が不要で、不動産会社の営業スタッフと直接やりとりする必要もありません。現時点では売却を考えていないものの、将来のために査定価格だけ知りたい方におすすめです。
三井不動産が街づくりを手掛けた「柏の葉スマートシティ」には、29台のAIカメラを配置しています。AIがリアルタイムに画像を分析し、通行人の異常行動や立ち入りの検知を行います。入居者もAIカメラが設置されていることで、安心して暮らせるでしょう。
参考:全従業員を対象に、自社特化型AIチャットツール「&Chat」の運用開始_三井不動産
リハウスAI査定_三井不動産
国内最大規模、柏の葉キャンパス駅周辺街区にAIカメラ29台を設置_三井不動産
積水ハウス
積水ハウスは、AIを活用して簡単に土地が探せるツールを提供しています。
希望条件を入力するだけで、AIが多数の土地情報サイトからユーザーに合った土地や物件を案内します。一括検索なので物件の重複がなく、物件ごとに建築可能な床面積で検索も可能です。不動産検索サイトで物件を一つ一つチェックしたり、不動産会社に問い合わせて土地を探す手間がなく、土地探しの効率化が図れます。
参考:土地探しをもっとカンタンに!便利にする検索システム_積水ハウス
野村不動産
野村不動産は、株式会社LIFULLと共同開発した「ノムコムAIアドバイザー」を提供しています。ノムコムAIアドバイザーは、AIが希望条件や課題をヒアリングし、物件の提案やエリアの相場を案内します。住宅ローンシュミレーションや学区情報の提供、家探しのコツなど住まい探しに関する相談ができるのが特徴です。
さらに、ユーザーの利便性を高めるためにLINE版の提供も開始しました。LINE版ではLINEのトーク画面上で物件検索が可能です。カード形式で物件を提案してくれるため、不動産売買の相談がしやすいでしょう。
参考:住まいのノムコムAIアドバイザー_野村不動産
「ノムコム LINE 公式アカウント」の運用開始_野村不動産
住友不動産
住友不動産は、AIを活用した物件査定サービス「ステップAI査定」を提供しています。
マンションだけでなく、戸建て住宅や土地にも対応しており、従来のAI査定サービスとの差別化が図られている点が特長です。全国のマンション・戸建て・土地に対応しており、最短60秒で査定が完了します。最新の相場情報も把握でき、売買・賃貸両方が検討できます。
以前は、物件情報の処理に多くの時間がかかり、迅速な価格査定や顧客対応が難しい状況にありました。しかし導入後、住友不動産では物件の査定精度が向上し、業務の効率化にも大きく貢献しています。
オープンハウス
オープンハウスは、営業スタッフの業務負担を削減するためのAI開発を進めています。
2019年にオンラインチラシの自動作成システムを開発し、年間20,000時間の削減を実現しました。
宅地区割りの自動化も進めており、独自のDX戦略を展開中です。今までは仕入れた土地を区割りする作業に1日〜2日が必要でしたが、AIを導入することで大幅に作業時間を短縮できました。迅速な区割りが可能になったことで、土地の仕入れ可否の判断もスピーディーに行えるようになりました。
また、チャットボット「AI営業スタッフ」のテスト運用を開始しました。ユーザーは営業スタッフとのやりとり同様に、物件の提案や不動産購入の知識が身に付けられます。対話を通じて、顧客情報をパーソナライズして提供することも可能です。営業スタッフの負担が軽減し、問い合わせ対応が24時間可能になり、サービスの品質向上に役立っています。
参考:オープンハウス、AI・RPA 技術を活用し不動産業務を自動化_オープンハウス
オープンハウスグループとAlgoage 業界初※「AI営業」開発に向け大規模言語AIを活⽤した実証実験開始_オープンハウス
SREホールディングス
SREホールディングスは、「SRE AI査定CLOUD」を独自開発し導入しています。
膨大な成約事例や登記情報をAIが解析し、土地・戸建て・マンションの価格をわずか数分で高精度に算出できる点が特長です。マンション名や部屋番号を入力するだけで査定が完了するなど、直感的に操作できます。査定書の作成時間も短縮され、担当者が変わっても安定した結果が得られます。
さらに、生成されるレポートには周辺エリアの市場動向やハザード情報も含まれており、売主・買主への提案資料としても活用できます。
精度とスピードの両立により、顧客は査定結果の納得感を得やすく、安心感も向上するでしょう。
大京グループ
大京グループは、AIを活用したマンション管理システム「AI INFO」を導入しました。
AI INFOは、共用部のスクリーンやスマホアプリに情報を掲示する管理システムです。AIの音声対話機能が備えられており、居住者は利用ルールやリフォーム相談、地域のイベント情報を入手できます。居住者は、管理人に問い合わせなくてもマンションに関する情報をいつでも取得できます。マンション管理人も、居住者からの問い合わせに対応する時間を削減できるのがメリットです。
また、社内のITヘルプデスクにAIチャットボットを導入し、同部署の月間入電件数を30%削減できた事例も報告されています。業務効率化が実現できたため、人事など他部門にも展開されています。
参考:大京グループ 2018年度「グッドデザイン賞」2件受賞_大京グループ
▼物件紹介文の作成など、本記事で紹介した内容以外にも、AIには多様な活用方法があります。
不動産集客におけるAIの効果的な活用方法
まとめ
不動産業界は、AIの導入が急速に進み、物件査定や問い合わせ対応、マンション管理まで幅広く活用されています。今回、紹介した事例では、業務負担の軽減などの成果が見られ、自社に取り入れる際の具体的なヒントになるでしょう。
AI活用は、今後も不動産業務において重要になるはずです。
他社との差別化を図るためにも、ぜひ参考にしてください。
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