近年、不動産賃貸の集客は従来手法だけでは、十分な反響を獲得することが難しくなってきています。賃貸市場におけるユーザーの行動がオンライン化に伴い、集客手段にも変化が求められているのです。今回は、不動産賃貸仲介業において効果的な5つの集客方法を解説します。

不動産賃貸市場と集客の現状

住まい探しにおけるユーザーの検索行動は、オンラインで完結するケースが一般的になってきています。最初に、賃貸仲介市場の現状とユーザーの情報収集の変化を解説します。

不動産賃貸市場の現状

2023年に実施された株式会社矢野経済研究所の調査によると、2022年度の個人向け不動産（居住用住宅）の賃貸仲介市場では、コロナ禍による需要の変化は見られませんでした。働き方が変化したことで地方への移住が増加すると取りざたされていましたが、賃貸仲介市場の需給には影響がありません。
逆に、人口流入が進んでいる都市部を中心に賃貸入居需要が推移しています。職住近接を実現し、自宅でも働く環境を整えたい世帯層が住み替えを行ったようです。

賃貸仲介では、消費者ニーズを的確に掴み、適切な情報をタイムリーに提供することが重要です。

参考：2023年版 不動産仲介市場の将来展望と事業戦略｜株式会社矢野経済研究所

従来の集客手法では訴求できない理由

不動産仲介の集客は、チラシや店頭広告などのオフラインでの方法が一般的でした。
しかし、インターネットやSNSが普及した現在では、ユーザー自らが不動産会社・物件の情報を手軽に収集する方法が主流となっています。つまり、従来の集客手法では、ユーザーにリーチできない可能性があるのです。

そこで、重要になるのが複数のチャネルを活用して顧客の状況に応じたアプローチをすることです。複数の媒体を組み合わせて集客施策を実施することで、効果的に情報を訴求できます。

▼不動産集客は他社と同じ物件を扱っているケースが多く難しいことも理由のひとつです。以下の記事では不動産集客の難易度が高い理由を紹介しています。
不動産集客が難しい理由

不動産賃貸仲介業を成功に導く5つの集客方法

次に、不動産仲介業におすすめの5つの集客方法を紹介します。

1.不動産ポータルサイトへの掲載

不動産ポータルサイトへの登録は、多くの不動産会社が利用している集客方法です。
ユーザーは一度に複数の物件をチェックできるため、効率的に情報を収集できます。

不動産会社がポータルサイトに登録するメリットは、管理している賃貸物件が顧客の目に留まる可能性が高まり、集客力アップが期待できることです。登録にかかる費用はポータルサイトによって異なるため、確認したうえで利用することが大切です。

2.SEO

インターネットの普及により、ユーザーが簡単に情報収集を行えるようになった現在、Web検索からの流入数は今後も増加の一途を辿るでしょう。自社サイトや取り扱う物件情報が検索結果で上位表示を獲得できれば、集客力の向上に役立ちます。

SEOでは、キーワード選定が重要です。賃貸サイトのキーワードの一例を紹介します。

• エリア＋アパート
• 家賃＋不動産名
• マンション名＋賃貸
• ペット可能＋エリア＋賃貸
• 〇〇駅＋一人暮らし

ユーザーは多様な組み合わせのキーワードで検索します。ターゲットのニーズは多岐にわたるため、一概に「このキーワードが良い」ということは言えません。まずは、内部対策をしっかり行い、より多くの物件を紹介するという基本から押さえていきましょう。

▼以下の記事では、不動産集客でSEOを成功させるためのキーワードについて紹介しています。検索段階に合わせたキーワードの選定も重要です。
不動産集客でSEOを成功させるために必ず押さえておきたいキーワード

3.SNS運用

従来の不動産ポータルサイトや紙媒体による集客では訴求が難しい層へのアプローチ手法として、SNSの活用が効果的です。特に、スマートフォンの利用頻度が高い若年層には、SNSでの物件情報獲得が自然な手段の一つになっていることから、今後の集客手法として重要性が高まっています。

SNSは媒体ごとに異なる特徴があります。ターゲット層や物件の特性に合わせて媒体を選ぶことで、集客効果を最大化できます。

各SNSの活用例は以下になります。

• Instagram：画像・動画を活用して「実際に物件に住んだ際のイメージ」を訴求しやすい
• X（旧Twitter）：空室速報やキャンペーン情報を投稿に適している
• TikTok：ルームツアー動画で物件訴求と視覚的な魅力を伝えやすい
• YouTube：地域情報コンテンツで安心感を持ってもらうなど、チャンネル独自の方針を示しやすい

SNS運用は継続が大切です。反応が良かった投稿を分析し、改善に活かしましょう。

▼以下の記事では、不動産集客のSNS活用について詳しく紹介しています。媒体の特徴に合わせた活用で効率的な集客を行いましょう。
不動産会社のSNS集客を徹底解説！おすすめ媒体や成功事例をご紹介

4.リスティング広告

リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索した際に表示される検索連動型広告のことです。特定のキーワードに連動して関連する広告が上位に表示されます。広告が上位表示されることで、ユーザーの目に留まりやすく、自社サイトに誘導しやすくなります。

リスティング広告の運用は、即効性があり、顕在層に訴求できる点が特徴です。しかし、リスティング広告を効果的に運用するには、キーワード選定や入札額の調整など専門的な知識が必要になります。社内に知見がなく、広告出稿が難しい場合は専門会社に依頼するのもおすすめです。

▼リスティング広告では自社の強みを活かした広告文を作成すると良いでしょう。以下の記事では、有効な広告文の作成方法を紹介しています。
不動産会社がリスティング広告で集客を最大化させるコツは？運用のポイントを解説

5.MEO対策

MEO対策とは、Googleマップに登録されている自社情報を検索結果で上位に表示させる方法です。MEO対策は、時間と費用を節約できるというメリットがあります。SEOは、コンテンツの追加やサイト全体の改善など、中長期的な期間を要するタスクが多いです。一方、MEO対策は、早い場合には1週間ほどで結果が現れる場合もあります。

MEO対策では、「地域名+業種名」で検索された場合に自社情報が表示されるように、自社サイトにキーワードを取り入れましょう。「地域名+賃貸会社」などのキーワードを使用してMEO対策を実施すると、ローカル検索結果で表示されやすく、自社を効果的にアピールできます。

▼MEOはSEOと併用して実施すると幅広いユーザーに訴求できます。以下の記事では、不動産集客でSEOとMEOを実施するメリットについて紹介しています。
不動産集客でSEOを行う際にはMEOも並行して実施する

反響率を高めるためのコツ

ここでは、賃貸サイトの反響率を高めるポイントを紹介します。自社で実施できる点を取り入れ、他社との差別化に役立てましょう。

物件写真の品質を高める

不動産広告では、物件写真のクオリティが集客に影響します。
質の高い写真が豊富に掲載されている物件は、掲載写真が少ない・質が低い物件よりも反響率が高まる傾向にあります。

質の高い物件写真を用意するには、画質と画角の2点を意識することが重要です。物件写真を撮影するうえで重要なのが、部屋の印象や特徴を十分に伝えることです。画質や画角が悪いと、部屋の情報が正しく伝わりません。

魅力的な写真を撮影するには、床や天井が地面と水平で、壁や柱が地面と垂直になっているなどの撮影のコツを押さえることが大切です。また、室内を広く見せるために、写真の1/3に床面を入れるのも良いでしょう。室内が広く見えるように壁の長い面を意識して、奥行きのある写真を撮影することもおすすめです。

これらは撮影のコツのほんの一部ですが、意識してみるだけでクオリティに差が生まれるはずです。質の高い写真を活用して、魅力的な広告作成に役立ててください。

地域関連コンテンツを作成する

地域密着型のコンテンツは、地域に根強い不動産会社としての訴求につながるため、集客率アップに役立ちます。地域情報を積極的に発信することで他社と差別化でき、SEOにも効果的です。

たとえば、大学が周辺にあるエリアでは、通学に利用できる沿線情報を掲載するのがおすすめです。地域密着型の役立つコンテンツにより、集客効果が高まり、会社の信頼獲得にも貢献します。

▼不動産サイトではスタッフ紹介やローンシミュレーションの作成はユーザーに興味を持ってもらうきっかけになります。以下の記事では、不動産集客で活用するホームページ運営を成功させるために必要なコンテンツを紹介しています。
不動産集客を成功させるためにホームページに必要なコンテンツ

VRを活用する

近年の不動産業界で注目されている技術が、VRです。不動産情報サイトでは、VR技術を活用した部屋情報の発信が浸透しています。

具体的な活用方法の一つが、VR内見です。VRでの内見は、Web上でどのような物件なのかを一目で把握できます。画像では、奥行きや幅感など詳細箇所が確認できません。その点、VRなら細部までチェックできます。

最終的な判断は現地での内見を踏まえて、決定する場合が多いですが、自宅にいながら部屋の印象をわかりやすく伝えるツールとして利用できるでしょう。

▼以下の記事では、不動産集客におすすめなホームページの制作会社を紹介しています。ホームページでの反響獲得で悩んでいる方は専門会社に依頼するのもおすすめです。
（19選）不動産集客におすすめのホームページ制作会社

まとめ

近年の賃貸市場では、ユーザーの情報収集行動がオンラインに移行し、従来の集客手法だけでは反響獲得が難化しています。

ポータルサイトやSEOに加え、SNS運用やMEO対策など多様な手法を組み合わせ、物件や地域の魅力を的確に伝えることが集客成功のポイントです。

Web集客は定期的な分析・改善が大切です。実施したら終わりではなく、継続的な運用を目指しましょう。

▼以下記事では、今回紹介したオンライン手法以外の集客方法について、さらに詳しく解説しています。
不動産集客に効果的！オンライン施策9選