- 2025年06月03日
不動産集客の手法〜オフライン〜

代表取締役社長 兼 Webコンサルタント
中尾 優作
不動産業界における集客は近年オンライン手法が主流になりつつありますが、ポスティングなどのオフライン手法も効果的な方法です。今回は、オフライン集客の特徴を紹介します。
オフライン集客の種類
不動産集客におけるオフライン手法は8つあります。費用や主なターゲットは以下の通りです。
オフライン手法名 | 費用 | 即効性 | 継続性 | 主なターゲット |
---|---|---|---|---|
ポスティング(チラシ配布) | 中〜やや高(印刷・人件費) | △(反響まで数日~1週間) | 〇(長期的に実施可能) | 地域住民(高齢者・ファミリー層) |
ダイレクトメール(DM) | 中(郵送代・印刷費) | △(少しづつ反響の効果あり) | ◎(仕組み化が容易) | 既存顧客、過去反響客(売却・住み替え) |
ティッシュ配り | 低〜中(大量発注で単価を削減) | 〇(当日反応も期待) | △(人手や許可が必要) | 若者・通行者 |
新聞広告 | 高(媒体・サイズにより変動) | 〇(週末前の掲載で週末反響を獲得) | △(定期出稿は高コスト) | 高齢者・地域の地主 |
新聞折込みチラシ | 中〜高(部数・紙質で変動) | 〇(配布翌日〜週末の反響に期待) | 〇(週・月単位で柔軟に対応可能) | 新聞購読世層(40代以上のファミリー) |
看板広告(屋外・店頭) | 中〜高(制作費・設置費・維持費) | △(長期的な認知効果が期待) | ◎(長期設置で認知度アップ) | 地域の生活圏住民・来店者 |
イベント・セミナー開催 | 中〜高(会場規模により変動) | △(開催日に反響が集中傾向) | 〇(定期開催で継続可能) | 購入検討者・相続世代 |
顧客紹介(リファラル) | 低(紹介特典費用のみ) | 〇(信頼ベースで高い成約率) | ◎(長期的に活用可能) | 既存顧客の知人・過去の契約者 |
次に、それぞれの手法の特徴を詳しく解説します。
ポスティング(チラシ配布)
ポスティングは顧客の目に確実に触れる可能性が高い集客方法です。エリアや送付先を指定して、高齢者などインターネットを使わない層にもアプローチできます。しかし、デザインやキャッチコピー次第で反響率が変わるため、興味を引き付ける紙面構成が必要です。
ダイレクトメール(DM)
DMは既存顧客や見込み客に郵送で情報を届ける手法です。過去の来店者や資料請求者に送付するため、高い成約率が見込めます。季節やイベントの時期に合わせて実施するのも効果的です。送付リストの質が成果に関わるため、事前準備が大切になります。
ティッシュ配り
ティッシュ配りは駅前や人通りが多い街中で、ポケットティッシュに広告を挟んで手渡す方法です。短期間で多くの人にリーチできるため、物件の認知度アップに効果的です。特に若者や単身者向け物件を扱う際には、配布場所や時間帯をターゲットに合わせて調整するのが良いでしょう。
新聞広告
新聞広告は中高年層に一定の利用者がいるため、賃貸よりは住み替えを検討している方に有効な方法です。しかし、アプローチできる年齢層やエリアが限定されるため、効率的な集客には工夫が必要でしょう。費用が高い傾向にあり、他の施策と組み合わせて実施することをおすすめします。
新聞折込みチラシ
新聞折込みチラシはエリアを限定して、新聞購読者に物件情報を届けられる手法です。不動産業界では、販売物件の購入者を集客するために利用されることが一般的です。週末の内覧者を獲得するためには金曜の朝刊に折り込むと効果的です。新聞に折り込まれている多くのチラシから選んでもらうには、物件の写真やデザインで目立つ工夫が必要でしょう。
看板広告(屋外・店頭)
看板は店舗前や交通量の多い場所に設置して、自社の認知度を高めるのに適した手法です。特定の地域に特化して集客が可能なため、地域密着型の顧客獲得に効果的です。ターゲット層が多く通行する場所に設置しましょう。また、夜間はライトアップやデジタルサイネージを活用して、視認性を向上させる工夫が有効です。
イベント・セミナー開催
住宅購入相談会や資産運用セミナーなどのイベント開催は、顧客と直接接点が持てる効果的な方法です。参加者の多くは関心が高く、高い成約率が見込めます。来場特典や個別相談など参加者の満足度を高める工夫を行いましょう。開催後は参加者に電話やメールでのアフターフォローを行うことで、見込み顧客の育成にもつながります。
顧客紹介(リファラル)
顧客紹介は過去の契約者から知人を紹介してもらう方法です。広告費を抑えつつ信頼性の高い見込み客を獲得できます。紹介者の口コミを通じて来店するため成約率が高いのが特徴です。長期的に活用できる集客手段として、顧客とのつながりを大切にしましょう。
オフライン手法を成功させるためのポイント
オフライン集客は、施策を実施するだけでは成果に結びつきません。
次に、オフライン手法を成功させるためのポイントを紹介します。自社で対応可能な項目から取り組みましょう。
ポイント1:ターゲットとエリアを絞り込む
オフライン施策で最も重要なのは、「誰に」「どこで」届けるかの明確化です。たとえば、ポスティングは広範囲に配布するよりも、過去の反響エリアや周辺住民の属性を分析した上で実施しましょう。エリアを限定して効率的に配布する方が費用対効果が高まります。新聞折込みは物件に興味を持ちそうな購読者層が多いエリアに絞って配布すると効果的です。
ポイント2:クリエイティブの質を上げる
紙媒体は限られたスペースで情報を伝える必要があり、写真やキャッチコピー、間取り図の見やすさなど視覚的に伝わる情報が結果を大きく左右します。チラシやDMは、読みやすく・見やすく・問い合わせたくなる構成が重要です。QRコードでWebに誘導するなどオフラインからオンラインへの導線を組み込み、顧客との接点を広げられると良いでしょう。
ポイント3:実施時期や頻度を意識する
オフライン施策は継続が大切です。1回限りのチラシ配布ではブランド認知も反響も獲得しにくく、適切な頻度での実施が求められます。また、配布タイミングは引越しシーズン前の2月〜3月、週末の内見促進を意識した金曜の新聞折込など見込み客が動くタイミングに合わせた実施が成果を左右します。
ポイント4:オフラインとオンラインを組み合わせる
スマートフォンの普及により不動産業界における集客はオンライン集客がメインになりつつあります。紙媒体などのオフライン集客だけではなく、自社ホームページやSNSとの連動も行いましょう。オフラインで実施しているイベントやセミナーをSNSで告知してみるのも良いかもしれません。
ポイント5:顧客との接点を増やす仕組みをつくる
イベントやセミナーの開催は見込み客と直接、接点が持てる集客方法です。住宅購入相談会や相続セミナーの開催は、参加者の関心が高く企業の信頼性をアピールできます。また、既存顧客からの紹介制度は広告費をかけずに高い成約率の新規顧客を獲得できる方法として注目されています。
まとめ
今回は、不動産集客のオフライン手法について解説しました。
オフライン手法はインターネットを利用しない高齢者へのアプローチや、看板などは長期間設置することでユーザーの目に触れ続けるため、記憶に残りやすいのがメリットです。
集客はオフライン手法・オンライン手法の片方だけに偏るのではなく、施策の特徴を理解してバランスよく実施すれば成果が期待できます。