- 2025年06月09日
不動産集客でSEOを行う手順

代表取締役社長 兼 Webコンサルタント
中尾 優作
不動産業界における集客手法の中でも、SEOは費用を抑えながら中長期的に見込み顧客を獲得できる手段です。ただし、SEOを成功させるのは簡単でなく、地域性やサービスの性質、顧客のニーズを考慮した戦略的な取り組みが必要です。今回は、SEOの手順を戦略設計からコンテンツ作成、分析・改善までの流れに沿って解説します。
SEOを行う際は、以下の4つの手順に沿って実施しましょう。
- 戦略設計(ターゲット設定・目的の明確化)
- キーワード調査・選定
- コンテンツ作成
- 効果測定・改善
手順1:SEO戦略の立案とターゲット設定
SEOの第一歩は、誰に対してどのような情報を提供すべきかを明確にすることです。
以下表は一例ですが、不動産業ではサービス内容によってターゲット層が異なります。
サービス内容 | 想定ターゲット | 想定ニーズ(検索意図) |
---|---|---|
購入(新築) | 30代共働き夫婦 | 地域+戸建て+予算 |
賃貸(居住用) | 一人暮らしを始める20代 | 沿線+家賃相場+初期費用の安さ |
売却(居住用) | 相続を受けた60代 | 空き家 売却、税金、査定 |
投資用物件 | 40代会社員 | 節税、不動産投資 初心者 |
例えば、住み替えを検討している30代ファミリーと、相続によって売却を考えている60代では、検索行動や求める情報が異なります。こうした違いを加味してペルソナを設定し、顧客の検討フェーズ(認知・比較・意思決定)ごとに必要な情報を整理します。
また、SEOの目的を明確にしておきましょう。問い合わせを増やす、物件ページへの流入を促すなど目的によって最適なページ構成やコンテンツの種類が変わってきます。情報提供型のコラム記事と、行動を促すLPを適切に使い分けることが成果に影響します。
手順2:キーワード調査・選定
戦略が決まったら、次はキーワードの選定です。
キーワードは、検索ボリュームや競合性だけで決めるのではなく、検索ユーザーの目的に着目して選ぶことがポイントです。キーワードは顕在層と潜在層に分けて考えると、狙った顧客層にアプローチしやすくなります。
ターゲットの段階 | ユーザーの状態 | キーワード例 |
---|---|---|
顕在層 | すでに検討中 | 荻窪 マンション 売却 |
準顕在層 | 情報収集中 | 不動産売却 タイミング |
潜在層 | きっかけ探し | 子ども 二人目 引っ越し |
キーワードの収集にはラッコキーワードの活用や、検索ボリュームや競合度の把握にはGoogleキーワードプランナーなどのツールがおすすめです。
手順3:コンテンツ作成
実際のコンテンツ作成では、検索意図を考慮した構成とSEO評価を得やすい設計が大切です。
コンテンツの基本的な構成の流れは次の通りです。
- タイトル:検索キーワード+検索者の関心要素を含む
- 導入文:読者の悩み提示+結論予告
- 本文:結論ファーストでわかりやすいコンテンツを記載
- CTA:資料請求、問い合わせなど
タイトルには検索キーワードを自然に含ませ、導入文ではユーザーの関心を引きつける課題提示を行います。その後、見出しごとに具体的な情報や解決策を提示し、最後のまとめの箇所に行動を促す要素(問い合わせや資料請求に誘導するバナー)を配置します。
不動産情報は、GoogleがYMYL領域と見なすため、信頼性が不可欠です。国土交通省や税務署などの信頼できる情報を引用し、出典を明記しましょう。また、会社概要や運営者情報、執筆者プロフィールの設置も評価を高める要素です。
手順4:効果測定・改善
コンテンツ公開後は、効果検証と継続的な改善作業が大切です。
以下の分析ツールを活用しましょう。
分析ツール | 目的 |
---|---|
Googleアナリティクス(GA4) | サイト全体のアクセス数・直帰率や滞在時間・CV数の把握 |
Googleサーチコンソール | 掲載順位、クエリ別CTR、表示回数の確認 |
ヒートマップツール | ページ内のユーザー動線を可視化 |
例えば、CTR(クリック率)が低ければ、タイトルやディスクリプションの見直し、滞在時間が短ければ構成や情報の質を見直しましょう。検索意図や制度が変更の場合は、古い情報のままにせず更新日を明記して作成すると、信頼性も向上します。
不動産業界におけるSEOの注意点
不動産分野はYMYLに該当するだけでなく、地域特化型ビジネスであるため、他業種に比べてSEOで意識すべき点が多くあります。
注意すべきポイント
特徴 | 対策例 |
---|---|
権威性のあるソースの提示 | 公的機関の引用、専門監修、著者情報 |
他ページ・プラットフォームと連携した地域特有の情報提供 | エリア別LP、Googleビジネスプロフィールとの連携 |
法改正の頻度 | 制度変更に迅速対応し、記事を更新 |
特に、ローカルSEOとの連動は有効です。「地域名+サービス名」で上位表示されるために、エリア別の情報ページや事例紹介ページを定期的に更新しましょう。
まとめ
SEOは即効性が期待できる施策ではありませんが、戦略的に取り組むことで、長期的に見込み客との関係性が構築できます。広告費をかけずに継続的な集客ができるため、営業活動の基盤を支える資産です。広告担当者は、事業戦略と連携したSEOの設計・運用に取り組み、成果に直結するWebサイトの構築が可能になります。
この記事を参考に最適なSEOを実施して、他社と差を付ける集客体制を構築してください。